キレやすいお年寄りたち vol.150

  • 2017.06.17 Saturday
  • 23:44

 

JUGEMテーマ:エッセイ

 

私は最近キレるお年寄りをやたら見かける。

たとえばスーパーマーケットでレジ待ちをしていると、

前に並んでいたおじいさんがいきなりレジ係りの女性に対し、

「もたもたしてんじゃねーよ!」と怒鳴ってみたり、

道を歩いているおじいさんの横を車がゆっくり通りすぎた瞬間に、

「危ねーじゃねーか! コノヤロー!」と叫んでみたり。

急にどうしちゃったの?とツッコミを入れたくなるようなキレ方をするのだ。

 

かくいう私も何度かお年寄りにキレられたことがある。

ある日ショッピングセンターの駐車場から車を出そうとエンジンをかけると、

70歳代の女性が運転する車が、私の車目がけてバックしてきたのである。

私が咄嗟にクラクションを鳴らし、相手に自分の存在を知らせると、

その女性は車を停めるなり飛び降りてきて、

「てめぇ、コノヤロー! 

クラクションなんか鳴らすんじゃねーよ! バカヤロー!」と、

女ヤクザさながらに私にすごんでみせたのだ。

見た目はいたって普通のそのご婦人に私はたいそう驚き、

そして理不尽な言いがかりにカチンときたのである。

しかし何と言っても相手はお年寄り。

「落ち着け、自分。落ち着け、自分。」と何度も心の中で呟いて、

どうにか私はその場を離れたのだった。

こんなふうに、私はちょいちょい車に乗ったお年寄りに絡まれるのだ。

 

きっと住んでいる地域のガラが悪いのだろう、

私はそう思っていた。

けれどニュースを見ていてもやっぱり日本全国津々浦々で、

お年寄りのトラブルが後を絶たない。

 

特に印象深いのは、昨年3月に兵庫県で起きた事件だ。

たばこのポイ捨てを注意されたことに立腹した75歳の男が、

6歳男児の首を両手で絞めて逮捕されたのだ。

69歳も年下の相手に対して本気でキレたことに、

私は強い衝撃を覚えたのだった。

幸い子供は無事だったけれど、心に受けた傷はどれほど深いだろう。

 

私が子供の頃に抱いていたお年寄りに対するイメージは、

「おばあちゃんのぽたぽた焼き」と「日本昔ばなし」だ。

穏やかな笑顔のおじいちゃんとおばあちゃん。

いたずらっ子を優しく説き伏せることはあっても、

本気で子供にブチ切れたりなんかしないのである。

 

些細なことですぐにキレるお年寄りたち。

どうやら理由は脳の老化にあるらしい。

脳の機能が衰えて理解力が低下し、

更には感情をコントロールする部分が委縮するために、

怒りの感情が抑制しにくくなるそうだ。

「あの人、年を取ったらずいぶん人が変わったわね。」

という言葉をたまに聞くけれど、それは逆で、

実際はもともと持っていた本性が剥き出しになった状態らしい。

 

なんだか残念だな、と私は思うのだ。

せっかく70年も80年も頑張って生きてきたのに、

最後の最後にブチ切れて、

誰からも相手にされなくなるなんて・・・。

だからそうならないために、

まずは脳みそをじゃんじゃん使うしかないのである。

自分は何でも知っている!という傲慢を取っ払い、

謙虚にしなやかに学ぶのだ。

古き良き時代はもちろん大事だけれど、

新しい時代だって負けず劣らず面白いのだから。

今まで知らなかったことを知り、

今までしなかったことを始めると、

脳みそはどんどん蘇ってくると言う。

 

80歳を過ぎて尚、

ネットをバリバリ使いこなしている諸先輩方を見かけると、

私の心は「かっちょえー!!」と叫び、シビレまくる。

あんなふうにカッコよくなりたい!

あんなふうにカッコよく生きたい!と心底憧れてしまうのだ。

 

将来自分がお年寄りになった時に、

私も誰かにそう言ってもらえるように、

今のうちから脳みその柔軟体操でも始めておこうかな、

なーんてことをふと思う、今日この頃なのである。

 

 

 

・・・つづく・・・

 

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