オンナたるもの vol.176

  • 2017.12.17 Sunday
  • 00:55

JUGEMテーマ:エッセイ

 

オンナたるもの、自分の意見など言ってはならぬ。

オンナたるもの、亭主の後ろを三歩下がって歩くものだ。

 

こんな言葉がまかり通っていた時代に生まれていたら、

私は一日でアウトだ。

 

もちろんそこによんどころない事情があるのであれば、

それもやぶさかでない。

たとえば女性があまりにも賢すぎて

男性の足を引っ張ってしまうから、

ご意見はほどほどに、とか、

今、砂嵐が吹き荒れているので、

男性の後ろを歩いた方が顔が汚れなくて済みますよとか。

 

しかしただオンナだからという理由だけでそんなことを言われたら、

「おーおー、上等じゃねーか!」と叫んで、

私は間違いなくちゃぶ台をひっくり返すだろう。

正当な理由など1ミリもないくせに、

なーにえっらそうなこと言ってやがるんだ、このクソジジー!

と叫びながら、

私は血管を何本も破裂させてそのまま死んでしまうかもしれない。

 

だから明治、大正、昭和初期に生きていた女性は、

本当に我慢強いと思うのだ。

明治31年に大日本帝国憲法で規定された「家制度」は、

戸主である父または長男の許可なく、

結婚も就職できないのだから。

それは女性にとって悲劇の何ものでもない。

父または長男が決めた相手と祝言を上げ、

たとえ生理的に好きになれなくても、

その人の子を作り、産まねばならず、

しかも一生仕えるのだ。

一体何の罰ゲームなんだろう・・・、

と私なら思ってしまうかもしれない。

そんないかれポンチ極まりない制度は、

なんと昭和22年まで続いたのである。

女性は49年間も忍耐を強いられたのだ。

 

制度が廃止されてから今年でちょうど70年。

あれから女性は自由になっただろうか。

自分のやりたいことは何でもできるようになり、

成人していればどんな相手とも

家族の承諾なしに入籍できる。

そんな時代に生きている今、

女性はみんな自由なのだろうか。

 

本当のことを言えば70年前にも、

自分のやりたいことを貫いていた女性がいる。

今年104歳になった現役の書家、篠田桃紅さんもそうだ。

生涯独身を貫き、今でも作品を発表し続けている。

84歳のオノ・ヨーコさんとて、

当時の日本ではなかなか理解されなかった前衛アートを

屈せずに発表し続け物議を醸した。

 

本気でやりたいことは何が何でもやるものなんだ。

先人たちの生き方に学ぶ時、私は心からそう思うのだ。

たとえどんな時代であっても、

男であっても女であっても。

 

こんなに自由な今、

それでも年のせいにしてみたり、

環境のせいにして何かを諦める人の方が、

よほど過去の遺物である家制度に縛られているような気がする。

 

せっかくこの世に生を受けた以上、

私なら納得のいく生き方をしていたい。

我慢に我慢を重ねてそつなく生きるより、

本来あるべき姿で悔いなく生きたい。

 

だからオンナたるものああせよ、こうせよと言われても、

私はちっとも耳を貸す気はないし、

かと言ってオトコと張り合うつもりもない。

今この瞬間にどれだけ自分らしくいられるかが

何より重要だからだ。

 

オトコだろうがオンナだろうが、

自分を貫いている人が最もカッコいい。

最もカッコいいまま死ねるなら、

こんなに素敵なことはないのだ。

 

 

 

・・・つづく・・・

 

 

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