ディジュリドゥ奏者 GOMAさん vol.194

  • 2018.04.22 Sunday
  • 04:12

JUGEMテーマ:エッセイ

 

今から二カ月ほど前に偶然見た、

世界的ディジュリドゥ奏者

GOMAさん(日本人)のドキュメンタリー番組に、

私は深く考えさせられたのだった。

 

彼は2009年11月、

高速道路で追突事故に遭ってから、

人生が一変してしまった人なのである。

 

事故当日の彼には目立った外傷はなく、

その日はむち打ち症と診断されて帰宅したのだが、

それ以降の彼は何かが違った。

家族との会話が噛み合わない。

記憶が断片的に消えている。

そしてその消えた記憶の中には、

自分がディジュリドゥ奏者だということも

含まれていたのだ。

 

後日病院で検査してみると、彼の脳は事故によって損傷し、

高次脳機能障害を発症していることが判明した。

言語、記憶、行為、学習、注意など、

脳の知的活動に障害が生じていたのである。

 

とりわけ彼を混乱させたのは、

事故の二日後に現れたある変化だった。

それまで絵をほとんど描いたことがない彼が、

なぜか絵を描かずにはいられない衝動に駆られたのだ。

 

そして彼はそれ以来、朝起きると絵筆を握り、

一日のほとんどを絵を描いて過ごすようになった。

脳裏に浮かぶイメージを点描画で表現し、

その緻密さと鮮やかな色彩は多方面から注目され、

いつしか彼は個展を開くまでになっていた。

 

事故前には想像もしなかったそんな自分の人生に、

彼はとまどい、今ももがき続けている。

 

幸い、彼の記憶から消えていた、

自分がディジュリドゥ奏者であるという現実は、

体が覚えていてくれたおかげで、

どうにか少しずつ取り戻すことができたのだった。

 

ある日アメリカに渡った彼は、

自分と同じような症状を持つ人々を

長年研究している博士に会い、

自分が後天性サヴァン症候群だったことを

やっと突き止めたのだ。

 

通常、サヴァン症候群とは、

自閉症スペクトラムなどの精神障害がある一方で、

突出した才能を持っている症状のことを指す。

GOMAさんの場合は事故で脳が損傷したことによって、

突如絵を描く才能が開花したのである。

しかしなぜ絵を描く才能だったのかは、

誰にも分からない。

 

 

ディジュリドゥを演奏しながら、

絵をひたすら描き続けるGOMAさん。

一つの人生を二度生きているようなその姿が、

私にはなんとなく、

前世と今生を同時に生きている人のように見えるのだ。                                                                    

 

GOMAさんはもう二度と

事故前の自分に戻ることはできないけれど、

新しくやって来た才能は、

また別の幸せを実感させてくれるに違いない。

 

音楽とアート、

二つの才能を同時に開花させて生きる

ゴマさんの不思議な物語。

稀に見る人生を生きるGOMAさんは、

きっと選ばれし人だと私は思うのだ。

 

 

 

・・・つづく・・・

 

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